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ふと見ると、一番奥の席に男性が4人いる。
悠々としているけど、彼らにも移動してもらわないと……!

[イノリ]「あの、すみません! そちらの皆さんも逃げてください!」

[チカ]「は? 逃げる? なんでだよ?」

[イノリ]「この窓際にトラックがものすごい勢いで突っ込んできます。だから早く離れないと危険なんです!」

[チカ]「はあ? なんなんだ、こいつ。頭大丈夫か?」

[ヒバリ]「まあまあ、落ち着いて。僕はヒバリ。そこの目つきの悪いのがチカで、携帯から目を離さないのがシシバ。で、こっちが……」

[リコ]「リコだよー! よろしくねー!」

[ヒバリ]「それで? トラックがなんとかって、どうしたの? ゆっくり話してくれる?」

[イノリ]「ゆっくりなんて話してられないんです! 予知夢を見たんです!」

私が声を荒げると、彼らは顔を見合わせた。

[チカ]「……くだらね」

[シシバ]「はあ……店の迷惑になるから、警察呼ぶ?」

[ヒバリ]「僕達も一応警察じゃなかったっけ?」

[シシバ]「……そうだったね。じゃあ、署に連行しとく?」

[イノリ]「ほ、本当なんです、信じてください!」

※文章および画像は開発中のものです

[ノラ]「ねえ、大丈夫ですか? 携帯落ちましたよ?」

[イノリ]「ん……」

ぼんやりした頭を左右に振ると、視界がクリアになる。
また、夢を見たんだ……。

[ノラ]「ほら。これ、君のでしょう?」

[イノリ]「え……あっ!」

見知らぬ男性に話しかけられていることに気づき、慌てて向きなおる。

[ノラ]「あれ? もしかして起こしちゃいましたか? すみません」

[イノリ]「い、いえ、私こそ……えっと、ここは……」

[ノラ]「ここ? ここはダイナーですよ。リトル・キララ」

そうだった。
ダイナーでコーヒーを飲もうと思って注文して、それで……

[ノラ]「携帯、大丈夫でした?」

[イノリ]「あ! えっと……」

拾ってもらった携帯に電源を入れてみる。
特に問題はなさそうだった。

[イノリ]「大丈夫みたいです、ありがとうございます」

[ノラ]「それはよかった。どういたしまして……ふふっ」

男性は優しく微笑みながら、私の顔を見つめている。

[イノリ]「あの、何か……?」

[ノラ]「寝顔、結構可愛かったですよ」

[イノリ]「ね、寝顔って……ちょ、ちょっとウトウトしてただけです!」

[ノラ]「そういうことにしておきます」

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[アザミ]「わ、私は、本当に何も知らないんです! 彼を殺したりなんかしてません!」

女性は声を震わせながら言った。

[ヒバリ]「僕は刑事じゃなくて、心理分析が担当なんだ。だから詳しく聞かなくてもよく分かる。あなたは殺してない。大丈夫だよ、僕は分かってる」

[アザミ]「……は、はい」

ヒバリさんの優しい言葉に、女性はやっと表情を緩ませたように見えた。

[ヒバリ]「ゆっくり、落ち着いて。僕はあなたの話をちゃんと聞いてるよ」

[アザミ]「うっ……」

ヒバリさんの言葉に、アザミさんは涙を零した。

[アザミ]「あの日、彼に言ったの。もう顔も見たくない、って。あれが最期の言葉になったら、どうしたらいいの……!」

[ヒバリ]「そういう考え方は止めておいた方がいい」

自分を責め続ける女性にヒバリさんはきっぱりと言った。

[ヒバリ]「こうしておけばよかった、っていうのはこの世で一番意味がない考えだよ。逆に、その思考がまた自分を閉じ込めてしまう」

ヒバリさんは手を広げ、5本の指を1本ずつ折ってみせる。

[ヒバリ]「心理分析の世界ではね、悲しみを5つの段階に分けることがある。否認、怒り、取引、抑うつ、そして受容。今のあなたは『怒り』の段階だね。なぜ彼がこんな目に遭わなければならないのか、憤りを抑えられない。大丈夫、怒る必要も、無理に受け入れる必要もない。悲しみと戦う必要はないんだよ」

[アザミ]「…………」

[ヒバリ]「この辺にしておこう。今日はもう帰って休んだほうがいい」

ヒバリさんは立ち上がって、女性をドアの方へ促す。
そしてそっと小さなカードを手渡した。

[ヒバリ]「これ、僕の連絡先。何かあったら、いつでも連絡して」

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[イノリ]「海がキラキラしてるね。きれい……」

[チカ]「天気いいけど……ちょっと風冷たくないか?」

[イノリ]「……っくしゅ」

[チカ]「ほらみろ」

チカはジャケットを脱いで差し出してくれた。

[イノリ]「いいよ、チカだって寒いんじゃない?」

[チカ]「俺はへーき。ほら、羽織ってろ」

[イノリ]「……ありがと」

チカのジャケットを肩に羽織ると、少しだけチカの匂いがした気がする。

潮の香りを思い切り吸い込む。
すごく気持ちがいい。

チカの方を見ると、どういうわけか眉間にシワを寄せてこっちをみていた。
どうかしたのかな?

[イノリ]「チカ、どうしたの? 難しい顔して」

[チカ]「……いや、その」

[イノリ]「あ、ごめん、やっぱり寒かった? 上着……」

[チカ]「違う! ……あ、あのさ!」

[イノリ]「なあに?」

[チカ]「あの……」

チカは珍しく口ごもった。
何か、言い難そうにしているみたい。
顔を覗き込むと、眼をそらされてしまった。

[イノリ]「……どうしちゃったの?」

[チカ]「あの、さ……俺、この前……」

[イノリ]「え?」

[チカ]「……俺、お前に何かひどいことを言ったような気がするんだ」

[チカ]「何を言ったか思い出せないけど、お前がすごく傷ついた顔をしてた、その顔だけは憶えてる」

チカはそこまで言うと私の目を見た。

[チカ]「なあ、俺は何を言ったんだ?」

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[ヤシロ]「まったく、本当に何を考えてるのよ……」

[リコ]「ごめんなさい……」

[シシバ]「範囲設定にミスがあったなんて気づかなかった」

[ヤシロ]「あのね、範囲設定がどうだとかそういうことじゃないのよ。まったく……警察車両のナビを外部からハッキングするなんて、どうかしてるわ」

[リコ]「でも、すっごく早く来て欲しいときには便利だよね?」

[ヤシロ]「便利でもなんでもダメなものはダメなの! 結局公園に7台も集まったっていうじゃない」

[リコ]「ごめんなさい、もうしません」

[シシバ]「同じことは、もうしません」

[リコ]「ちょっと! シシバ! ちゃんと謝った方がいいって」

[ヤシロ]「はあ……」

[ヤシロ]「いい? 私はあなた達が、普通の警察官と違うのは知ってるし、むしろそれを買ってる」

[ヤシロ]「だから、突拍子もないことだって、私は期待してるの。でも、問題になるかもしれないと思ったら、私に確認して」

[リコ]「はーい」

[シシバ]「…………」

[リコ]「シシバ!」

[シシバ]「……はい」

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[イノリ]「……私、どうしたらいいんだろう」

[ノラ]「自分の身を守りたい? それともどうやったら役に立てるか、ですか?」

どちらでもない。
私の能力は悪意ある誰かを本当に行動させてしまった。

[イノリ]「夢を見るのを煩わしいと思ったことはあるけど、怖いと思ったのは初めてなの」

[イノリ]「自分の行動が、誰かの命を危険に晒すかもしれないなんて……」

[ノラ]「その逆もあるんじゃないですか? 君は、あの日、ダイナーで沢山の人を救ったんですから」

私は首を振った。

[イノリ]「救ったのは私じゃない……」

[イノリ]「あの場にサイドキックスがいてくれたから、みんなを助けられただけ。私はただ、大声を上げただけ……」

夢を見ても、何もできないかもしれない。
でも夢を見なかったら、助けられないかもしれない。

どっちにしても、私は……

[ノラ]「あまり深く考えない方がいいですよ」

[イノリ]「え?」

[ノラ]「自分に出来ると思ってやったことが裏目に出たり、良かれと思ってもそれが誰かを傷つけてしまったり。そんなもんです。気にしてたらキリがないですよ」

[イノリ]「……でも」

[ノラ]「……?」

[イノリ]「でも私は、ちゃんと気にしたいよ。今までは、変な体質だって思うだけで、なんとなく勘が当たったなってくらいにしか思ってなかったし、深く考えたこともなかった」

[イノリ]「でも今は、みんなが、チームが、手を貸してくれる。私だけ考えずに、逃げたりできない」

[ノラ]「……強いですね、君は」

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[ヒバリ]「人間っていうのは、本当に情の深い生き物なんだ。
深い感情を持つ間柄であればあるほど、
他人からしたらどうでもいいような理由で殺意を抱く」

[ヒバリ]「愛情が深ければ深いだけ、人は人を殺せる」

[イノリ]「……やっぱり、分かりません」

[ヒバリ]「まあ、わかんないよね。でも別にいいんだよ、わからなくても」

頭に暖かな手が触れた。
仔犬を撫でるような手つきでヒバリさんが私の髪をくしゃくしゃともてあそぶ。

[ヒバリ]「いつか君にも分かる時がくるよ」

そう言ってヒバリさんは笑った。

予知夢は暗くてよく見えないことも多いけど、
それが事件に繋がる内容だったのかと思うと……。

[ヒバリ]「……怖いなら、やめてもいいんだよ」

[イノリ]「え?」

[ヒバリ]「タテワキがどういうつもりかは知らないし、
みんなも歓迎してるみたいだけど、
僕は君がここにいなくちゃならない理由は無いと思う」

ここにいなくちゃいけない理由……それは……。

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[シシバ]「僕のせいで人が死んでたかもしれない」

シシバはもう一度繰り返した。

[シシバ]「……怖かった」

[イノリ]「うん」

[シシバ]「もしかしたらこうなるかも、もしかしたらあの判断が間違ってたのかも、そう考え始めたら、頭が全然動かなかった」

[イノリ]「……うん」

シシバは更に続けようとして、言葉を選んでいるようだった。
私はうなずいて、次の言葉を待った。

[シシバ]「……あの人に、なりたかったんだ」

[イノリ]「あの人……?」

[シシバ]「なれると思ったんだ。あの人は、すごくいい加減で、すごく不真面目に見えてたから。あの人にできて僕にできない事なんかないって……」

[シシバ]「でも違った。あの人が見てるものは、もっと違ってたんだ」

[イノリ]「……シシバは、誰かにならなきゃいけないのかな?」

[シシバ]「え?」

[イノリ]「シシバにしかできないこと、たくさんあったから」

[シシバ]「僕にしか……できないこと……」

[イノリ]「ごめん、なんか、上手に伝えられないね」

[シシバ]「ううん、ありがと」

そう言ってニコッと笑ったシシバは震えの止まった手で私の手を力強く握り返してくれた。

[シシバ]「あの、さ……」

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[リコ]「ねえねえ、お野菜これでもういい?」

[イノリ]「もうちょっと、玉ねぎに火が通ったほうがいいかも?」

[リコ]「りょーかい! ねえ、イノリはいつもこんな風にお料理するの?」

[イノリ]「一人だとそんなにちゃんとは作らないけど……リコは?」

[リコ]「僕はお料理しないよー。出来てるやつ買ってくるか、どっかで食べちゃう」

[イノリ]「そうなんだ。でもみんな結構キララさんのところで夕飯食べてるよね」

[リコ]「うん。僕とシシバも、だいたいキララのところで食べてるかなー」

[イノリ]「そっか。みんな忙しいもんね。あんまりお料理とかしないのかな」

[リコ]「なんかね、ヒバリは朝ごはんとかちゃんと作って食べてるらしいよ。ホットサンド焼く機械とか持ってるって言ってたもん。ワッフルだっけ?」

[リコ]「あと、あれ……そうだ、スムージー!」

[イノリ]「ヒバリさん、すごいなあ……」

[リコ]「玉ねぎもういい? もうちょっと炒める?」

[イノリ]「そうだね、もういいかな。じゃあ、ご飯入れるね」

[イノリ]「よく混ぜて……うん、そうそう」

[リコ]「でねでね、チカもお料理しないって言ってたけど、体力試験の前とかはキララに教えてもらって、ササミとかすっごい食べてた」

[リコ]「あとはー……そうだ、1回だけね、シシバのお家で一緒にご飯作ったことあるんだけど、なんか、理科の実験みたいだった」

[イノリ]「理科の実験?」

[リコ]「うん、シシバね、ネットで調べながら、1グラムまで量ってたもん。でもね、ぜーんぜん美味しくなかったのー」

[イノリ]「そ、そうなんだ……」

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[イノリ]「ヒバリさん……」

[ヒバリ]「そんな顔しないで。言ったでしょ、人の心は脆いんだ。
だから傷つかないで……僕がそばにいるんだから……」

[イノリ]「あの……」

ヒバリさんが私の体を引き寄せて、抱きしめる。

[ヒバリ]「こんなに近くにいる……感じるでしょ? 僕のこと……」

[イノリ]「私……」

[ヒバリ]「怖がらないで……僕を受け入れて……」

[イノリ]「……はい」

[ヒバリ]「好きだよ、イノリちゃん……」

[イノリ]「ヒバリさん……」

[ヒバリ]「大丈夫、僕に任せて……」

[イノリ]「ヒバリさん、私……」

[ヒバリ]「なに? 言ってごらん……声、聞かせて……」

[イノリ]「私、ヒバリさんのことが……」

[ヒバリ]「……僕になんて言って欲しいの?」

[イノリ]「私のこと……」

[ヒバリ]「君のことを……何?」

[イノリ]「……好きですか?」

ヒバリさんは、目を細めて、ただ黙って、もう一度口付けた。

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[シシバ]「イノリ……?」

[イノリ]「ご、ごめん!」

目の前にシシバの驚いた顔がある。
慌てて起き上がり、体を離そうとした。

[イノリ](すごく、近い……)
こんなに近くでシシバの目を見たのは初めてかもしれない。

[イノリ](このまま……言おう!)

[イノリ]「お願い、話、聞いて欲しいの!」

[シシバ]「話って、何? さっきの? だったら……」

[イノリ]「だめ! 話聞くまで、このまま離さないから」

[シシバ]「は、離さないって……」

[イノリ](こんなに近くに顔があると、ちょっと恥ずかしくなっちゃうけど……)

[イノリ]「どうしても言いたいの、だからお願い、聞いて」

[シシバ]「…………」

[イノリ]「この前、シシバが怒ってくれた時、あったでしょ?」

[シシバ]「……うん」

[イノリ]「リコはね、嬉しいって言ってたの」

[シシバ]「なんで? 僕が勝手に怒っただけなのに」

[イノリ]「誰だって頭にきたら怒るよ。でも、誰のためにも怒れるわけじゃないでしょ」

[シシバ]「…………」

[イノリ]「シシバは、自分のためじゃなくて、リコのために怒ってくれた。その優しい気持ちが、すごく嬉しかったんだよ」

[イノリ]「私も、真っ先にシシバに伝えるべきだった。私はシシバのために言うべきことを言ってなかった」

[シシバ]「……話が、よく見えないんだけど」

[イノリ]「シシバは、ひとりしかいないの! シシバはシシバしかいないし、私達にはシシバしかいないの!」

[シシバ]「え……」

[イノリ]「もし明日、シシバがいなくなったら……私……」

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[チカ]「帰れよ……お前には、関係ねーんだ」

チカと私の間に降る雨が、どんどん強くなる。
チカの心が、遠ざかっていくような気がする。

[イノリ]「チカ……」

[チカ]「聞こえねえのかよ! 消えろって言ってんだ!」

[イノリ]「……っ!!」

空気まで震えるような怒鳴り声だった。

強い、あまりにも強い拒絶。
どうしていいかわからなくて、足が自然と後ろへ下がる。

[イノリ](私は、チカの中には入れないの? もう、届かないの?)

[チカ]「俺は……そんな資格……」

それでも私は、チカを助けたい。
独りにしたくない。
傍にいたい。

独り善がりでもいい。
チカが嫌だって言っても、私のことが嫌いでも、
チカを助けられるならなんでもいい!

気づいたときにはチカを抱き締めていた。
ぎゅっと抱きしめると、チカは息を呑んだ。

[イノリ]「私の事、嫌いでもいいから……チカのこと、助けたいって思うのは私の勝手だから……」

[イノリ]「全部、私の勝手なの。チカが辛いと、私が辛いの……」

[チカ]「なんで……だよ……」

チカは小さく呟くと、
そのまま私をきつく抱きしめた。

それは、私を抱きしめているというより、
何かに強くすがりついているようだ。
腕の力は痛いくらいだった。

きつく締め付ける腕の強さが、
チカの気持ちが、痛い。
私も力を込めて、きつくきつく抱きしめ返す。

[チカ]「ほっといてくれよ……俺のこと、忘れてくれよ……」

耳の後ろの方から聞こえるチカの声は、雨の音にもかき消されそうに小さかった。

[チカ]「頼むから……見ないで……俺を、見ないでくれ……」

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[ヒバリ]「イノリちゃんが寂しいと思う時って、どんな時?」

ヒバリさんの、突然の質問だった。

[イノリ]「寂しいと思う時、ですか……? うーん……一人でいるとき、でしょうか」

[ヒバリ]「そう……」

ヒバリさんは周囲を見渡す。
サクラダの大通り、サクラダスクエアは街の中心。
そんな人混みを見ながら、ヒバリさんは呟いた。

[ヒバリ]「僕はね、逆に誰かと一緒にいるときかな。
皆と楽しく話してても、誰かと触れ合ってても、
どうしようもない孤独を感じる」

[イノリ]「誰かと一緒にいても、ですか?」

[ヒバリ]「うん。誰かとどんなに近くにいても、ふと寂しくなったりするんだ」

[ヒバリ]「この人は、本当に僕と一緒にいるのかなって。
物理的な距離は近くても、心は遠い気がしてしまう」

[ヒバリ]「見てごらん、この街。こんなにもたくさん人がいるのに、
本当の気持ちを知ってる人なんてほとんどいない」

[ヒバリ]「こんなにも賑やかなのに、まるで孤独の塊だ」

隣に立つヒバリさんを見上げる。
いつもと同じように、優しく笑っている。

でも、賑やかな街を見るその目が、ほんの少しだけ寂しそうにも見える。

[イノリ]「…………」

[ヒバリ]「あ……ごめん、変な話だったよね」

私の視線に気づいたヒバリさんは、こっちを見ながら困ったように笑った。

[イノリ]「今も、寂しいですか?」

[ヒバリ]「え?」

なんと答えていいのか分からなかったけど、
ヒバリさんの顔を見ていたら自然と出てきた言葉だった。

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[ヒバリ]「……ん? あれ、イノリちゃん?」

ヒバリさんは、ちょっと驚いた様子で顔を上げた。

[イノリ]「ヒバリさんもいらしてたんですね」

見ると、テーブルにはカップが2つあった。
誰かと一緒だったのかな?

[シオン]「あ……」

[ヒバリ]「……シオン?」

[シオン]「もしかして、ヒバリさん!?」

[イノリ]「あ、あれ? ふたりとも、知り合いだったの?」

[ヒバリ]「へえ、驚いたな。
イノリちゃんとシオンが知り合いだったなんて」

[シオン]「え? イノリさんも?」

[ヒバリ]「……ああ、それより座ったら?
アイス、溶けちゃうよ。ほら、席どうぞ」

[イノリ]「あ、じゃあ……」

私たちはヒバリさんと同じテーブルについた。
ぽつんと置かれたままの、溶けてしまったアイスの入ったカップが目についた。

[シオン]「あ、ヒバリさん」

[ヒバリ]「うん? なに?」

[シオン]「アイス、溶けちゃってるよ……」

[ヒバリ]「ああ……これね」

シオンちゃんが、ヒバリさんの前に置かれたカップを見て言った。

[ヒバリ]「買ったはいいけど、僕にはちょっと甘すぎたみたいだからさ」

綺麗な青色のアイスはすっかり溶けてしまっていた。
ヒバリさんの手元にある、バニラアイスも、もう溶けかかっていた。

[ヒバリ]「さて……それじゃあ僕は先に失礼しようかな。イノリちゃん、また後でね」

[イノリ]「はい」

[シオン]「ヒバリさん、また今度、お話できる?」

[ヒバリ]「そうだね。今度、ゆっくり話そう。色々……君の近況とか、聞きたいし。じゃあ、またね」

ヒバリさんは、そう言って背を向けたが、ふと振り返った。

[ヒバリ]「シオン、元気そうで本当に良かったよ」

[シオン]「ヒバリさんのおかげ、です」

[ヒバリ]「……また今度、ゆっくり話そう。ね?」

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リコはそのまま私の両腕を片手で押さえた。
頭上で押さえられた両腕は、振りほどこうとしても動かない。

[イノリ]「リコ、ねえ、どうしたの? 腕……」

[リコ]「押さえてるんだよ。イノリが逃げないように」

[イノリ]「逃げるって……」

[リコ]「僕だったら大丈夫だと思った? 何もしないと思った?」

[イノリ]「だ、だってリコは……」

[リコ]「僕は、イノリに何もしないって思ってた?」

[イノリ]「……ねえ、リコ。どうしたの? どうして今日にそんな事……」

[リコ]「聞かせてよ、イノリ。僕は何もしないと思った?」

リコの目は真剣だった。

[イノリ](どうしよう……何て答えたら……)

[リコ]「こういう風にされるの、嫌?」

リコは顔をぐっと近づけて私の唇をペロッとなめた。

[イノリ]「っ!!」

[イノリ](り、リコ……っ!)

驚いて身をよじっても、
腕を押さえられている力は変わらない。

[リコ]「こういうのは?」

そう言ってリコはそのまま唇を重ねる。
少しずつ……深く……。

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思わず閉じてしまった目を開くと、目の前には思いがけない光景があった。
私の腕を引いたのは、チカだった。
そしてそのチカが銃を向けているのは……。

[イノリ]「ノラ……?」

[チカ]「てめえ……」

[ノラ]「チカ、ですか?」

[イノリ](どういうこと? なんで二人が……)

[イノリ]「チカ、どういうことなの?」

[チカ]「最近、お前の様子がおかしいんじゃないかって気になってたんだ。それで今日、跡を付けてきた」

[チカ]「そしたらこんな夜道に、ナイフ構えたノラがいるじゃねえか」

[チカ]「答えろ! てめえ、イノリに近づいてどうするつもりだったんだ!」

[イノリ]「ねえ、チカ、聞いて」

[チカ]「イノリ、黙ってろ。俺がこいつと話をする」

[ノラ]「何か、勘違いしてませんか?」

[チカ]「そう思うなら、そのナイフを下ろせよ。ああ?」

[ノラ]「あなたが銃を下ろしたらそうします」

二人は言葉を止めた。
薄暗い街灯の、耳障りなノイズだけが聞こえる。

[イノリ]「チカ、これには訳があって……」

[チカ]「お前、こいつに利用されてるんだろ」

[イノリ]「利用?」

[チカ]「ノラがお前に近づいてたことは知ってた。単に仲がいいだけかと思ってたが……」

[チカ]「おい、ノラ。どういうことか説明しやがれ!」

[ノラ]「今、あなたが言った通りのことです。それ以上のことはなにも」

[チカ]「仲が良いだけって言い張るのか?」

[ノラ]「ええ、その通りです」

[イノリ]「ほんとだよ、チカ。私、ノラの調べ物を手伝ったりしてるだけで、何も困ったことなんて……」

[チカ]「ただの記者にしちゃあ、随分気合の入ったナイフだよな。わざわざタクティカルタイプのナイフを持ち歩いて、そのスピードで構えるなんて、どう見ても怪しいだろ」

[ノラ]「職業柄、身を守る術は必要ですから」

[チカ]「しかも真っ先に首を狙ってきやがって。近距離ならナイフで銃に勝てると思ってるんだろ? ……試してみるか?」

[イノリ]「チカ、誤解だよ。ねえ、やめて!」

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[カウンセラー]「じゃあ、カウンセリングをはじめるわ」

[タテワキ]「ていうかこんなん、カウンセリング完了ってサインしてくれればそれでいいって」

[カウンセラー]「タテワキ、いいかげんにして」

[タテワキ]「はいはい、っと。で、何を話せばいい?」

[カウンセラー]「じゃあ、あなた自身のことは?」

[タテワキ]「俺のこと?」

[カウンセラー]「ええ、気付いてないかもしれないけど、あなたは自分のことになると言葉が少なくなる。部下のことはよく話すのに」

[タテワキ]「そりゃアイツらに関しちゃ話すネタが尽きないからだよ」

[カウンセラー]「あなたが休暇を取らなくなったのは、あの事件の後からよ。何か関係があるんじゃない?」

[タテワキ]「…………」

[カウンセラー]「いつまで、そこにいるつもりなの? もう、許してあげたら?」

[タテワキ]「話すことは、何もない」

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[ノラ]「……え?」

両手で、ノラの頬に触れる。

[イノリ]「私は、ノラの力になりたい。でもそれは、事件を解決したいってだけじゃないよ。ノラの、力になりたいの……」

[イノリ]「どうしてそんな寂しそうな目をするの……」

ノラの顔から、笑みが消えた。
今にも泣き出しそうな顔……。
唇を噛み締めて、胸をぎゅっと押さえている。

[ノラ]「だって……俺のせいで死んだんだ……」

[イノリ]「ノラのせいじゃないよ」

[ノラ]「俺は、真実を見つけられなかった……俺のせい……」

吐き出すようにつぶやくノラの声。
その肩が震えているの気づいた。

[イノリ]「ノラ……」

私は立ち上がり、ノラの元へ歩み寄った。
両手でノラの頭を引き寄せ、胸に抱きしめる。
まるで母親が子供を抱くように、ぎゅっと抱きしめた。

[ノラ]「…………」

ノラを、抱きしめたいと思った。
何かが変わるわけでもないけど、とにかく抱きしめたかった。

ノラを苦しめる何かから、ノラを守りたいと思った。

そう思ったら、自然と体が動いてしまった。
触れ合った肌から、ノラの体の震えが伝わってくる。

[ノラ]「俺のせいで……俺が……」

抱きしめる手に力を込めると、ノラも手を伸ばし、私の背に手を回してきた。

ぎゅっと抱き返してくる力が、とても強い。
私の胸で震えるノラは、まるで怖がる子供のようにも見える。

[イノリ]「ノラは一人じゃないよ」

ノラは何も答えなかったけど、その腕はぎゅっと私を離さなかった。

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チカは私を引き寄せ、抱きしめた。
額に優しい、唇の感触。

[チカ]「酷いこと言ってごめんな」

[イノリ]「怖いの……怖くて仕方なかったの……」

[チカ]「ごめん。ごめんな」

チカは何度もそう言って強く抱きしめる。

[イノリ]「謝らないでって……言ったのに……」

[チカ]「そうはいかねえよ……お前の言う通りだからな。俺も同じなんだ。怖くて仕方がない……」

[チカ]「守りたいとか、助けたいとか言っても綺麗事じゃ済まねえことばっかりだ」

[チカ]「誰かを守るため、誰かを殺さなくちゃならない事があるかもしれない……いや、きっとある。それは覚悟の上だ。警察官になろうってんだから……」

[チカ]「でもな。ほんとは怖くて仕方ないんだ。殺すこともだけど、俺がもし迷って、守れたはずの人を守れなかったら……」

[チカ]「そう思ったら、怖くって仕方ないんだ」

私はチカを抱き返した。
私たちは同じ。
同じ怖さを抱えてた……。

[チカ]「なあ、お前が怖いって思う時は俺がお前の傍にいたい。ダメか?」

[イノリ]「ダメなんかじゃない。いて欲しい……チカに傍にいて欲しいよ。傍にいて」

[チカ]「ああ。俺が迷った時も、傍にいて欲しい」

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[タテワキ]ふーん……お前、こういうのが好きだったのか?

最近の映画はすごいな……ちゃんと音が右とか後ろとかから聴こえんのね。

それにしても、お前がこんな男臭い映画を好きだったとはな。

ん? イノリ?

なんだよ、寝てるのか?

ったく……お前が観たいっていうから来たのによ。

…………。

なんだよ、起きないのか?

……まいったね。

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